プライベートブロックチェーン

プライベートブロックチェーンとは、単一の管理者が存在し、参加者が限定されたブロックチェーンのことです。プライベートブロックチェーンのネットワークに参加するには管理者の許可が必要です。

ブロックチェーンには大きく分けてパブリックブロックチェーン、プライベートブロックチェーン及びコンソーシアムブロックチェーンの3つがあります。プライベートブロックチェーンとコンソーシアムブロックチェーンは、管理者の許可が必要という点でまとめて「パーミッションド(許可型)ブロックチェーン」と呼ばれます。一方でパブリックブロックチェーンは管理者が不在で誰でも参加できます。

プライベートブロックチェーンやコンソーシアムブロックチェーンは、暗号資産関連企業ではない従来の金融機関や一般企業等によって開発が進められている事例が多くあります。代表的なブロックチェーンとして、ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)が挙げられます。

プライベートブロックチェーンのメリット
プライベートブロックチェーンのメリットは、秘匿性の高い情報を扱えることが挙げられます。管理者が存在し、参加者が許可制となっていることで、情報を制限することができるからです。パブリックブロックチェーンは誰でも参加が可能で、取引記録が全世界に公開されているため、秘匿性の高い情報を扱うには適していません。

また、許可制にすることによって悪意ある参加者を管理者側で防ぐことができます。パブリックブロックチェーンでは、悪意を持ったノードがネットワークに参加するおそれがあります。それによって不正な取引記録に書き換えられる心配がありますが、プライベートブロックチェーンではその心配はありません。

次の利点として、パブリックブロックチェーンに比べて、大量のブロック承認を高速で処理できることが挙げられます。パブリックブロックチェーンでは、不特定多数が参加する多数決による合意形成を行なっていることから、取引の承認に時間がかかります。一方、プライベートブロックチェーンでは参加者が許可制となっており、不正をしないという前提で参加を許可されていることが多いため、素早い合意形成が実現できます。

その他に、マイニング(採掘)報酬等のインセンティブが不要という点も特徴です。インセンティブがないため、トランザクション手数料なしでブロックチェーンの維持が可能となります。パブリックブロックチェーンでは、ノードが自主的に活動してセキュリティ等を担保しており、取引記録を承認する作業の報酬として暗号資産(仮想通貨)が与えられます。一方のプライベートブロックチェーンでは管理者が存在し、自分たちのために運営しています。そのため、インセンティブ設計が不要となっています。

パブリックブロックチェーンに比べると、自社内でブロックチェーンの検証や開発がしやすく、情報管理が厳格な金融機関等で、プライベートブロックチェーンを使った取り組みが進められています。

プライベートブロックチェーンのデメリット
プライベートブロックチェーンのデメリットとしては、意図的にデータが改ざんされる可能性があることです。ネットワーク管理者が存在しているため、管理者が気に入らない取引があった場合に、その取引を消去してしまうことが可能です。このため、データの信頼性がパブリックブロックチェーンよりも劣ってしまいます。管理者への信頼がなければ、ブロックチェーンとして機能することは難しいでしょう。

また、管理者が一元的に管理することで、システムがダウンするリスクがあります。プライベートブロックチェーンを運営する企業や組織によってネットワークの安全性が決まるためです。データの永続性や可用性といった面でパブリックブロックチェーンよりも劣ります。

プライベートブロックチェーンとコンソーシアムブロックチェーンの違い
単一の管理者が存在するプライベートブロックチェーンに似た形として、複数の管理者が共同して運用するコンソーシアムブロックチェーンというものがあります。

参加者が限定されていたり、インセンティブが不要だったりという点ではプライベートブロックチェーンと同じ仕組みです。しかし複数の管理者がいるという点でプライベートブロックチェーンよりは透明性が高いことが利点です。そのためにデータの改ざんも起こりにくいといえます。合意形成についても、プライベートブロックチェーンは単一なのに対し、コンソーシアムブロックチェーンでは運営グループが決定します。

コンソーシアムブロックチェーンは、同じ業界でパートナシップを組む等して、ブロックチェーンの実証実験に使われる事例が出てきています。

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